执笔者プロフィール

叁原 聡子(みはら さとこ)
独立行政法人国立病院机构久里浜医疗センター主任心理疗法士
叁原 聡子(みはら さとこ)
独立行政法人国立病院机构久里浜医疗センター主任心理疗法士
折しもWHOが定めている诊断基準であるICD-11に、「ゲーム障害」が収载されることが决まった昨年、2019年、わが国では国体の种目としてeスポーツが开催された。またプロゲーマーを养成する専门学校の设立や、公立高校での「eスポーツ部」の开设など、现在、わが国のeスポーツをめぐる状况は、大きく変わろうとしている。
久里浜医疗センターは、2011年7月から「インターネット依存専门治疗外来」を开设し、この8年间で日本全国から1800例以上のインターネット依存のケースをみてきた。受诊者の90%がゲームに依存している。そして、この问题の深刻さ、问题の拡大を目の当たりにし、WHOのコラボレーションセンターとして、ゲーム障害をICD-11に収载するための动きを牵引してきた私どもとしては、复雑な思いがある。
そもそもゲームに依存性があるとされた理由は何か。依存の构成要素として依存行动と言われる依存に特有の行动があること、依存行动に起因する健康?社会?家族问题が生じていること、依存に共通した脳内メカニズムの存在が挙げられる。ゲームの过剰使用によってこれら3つの依存の构成要素を満たす状态になることが明らかになったため、ゲームはギャンブルと同じように依存性がある行动であるとされたのである。
まずゲーム障害における依存行动とは何か。ゲームをはじめるとなかなかやめられない、プレイ时间を减らそうと思っても减らせないといったコントロール障害、时间においてもお金においてもゲームが生活の最优先事项になること、问题が生じているにもかかわらず、ゲームを続ける、またはエスカレートさせるといったことである。
次に依存に起因する问题とはどのようなことか。当院初诊时に、ゲーム障害に関连して起きている问题としては、进级できないほどの成绩低下や长期の欠席、引きこもりといった学校や本人の社会生活に関连する问题がほとんどの受诊者に起きている。また、1日1食といった不规则な食事による低栄养や昼夜逆転、运动不足による骨密度の低下、エコノミークラス症候群、脂肪肝といった健康问题が多くの受诊者に起きている。さらに、家族への暴言?暴力、亲のクレジットカードを无断で使用し多额の课金をするといった、家族関係に関わる问题も半数以上のケースに起きている。
さらに、ゲーム障害の患者において依存に共通した脳内メカニズムが起きていることを示す、脳画像研究からの知見も増え始めている。例えば、チン?フン?コは、ゲーム障害者と健常者にオンラインゲームの画像を提示したときに、ゲーム障害者のほうが、眼窩前頭皮質や側坐核、前帯状皮質、内側前頭皮質、背外側前頭前皮質、尾状核の賦活がより活発に見られたことを見出しており、薬物依存者と同様にゲーム障害者においても、視覚刺激に曝露されただけでも強い渇望が生じることを示した(Ko et al. : 2009)。また、ヤジン?メンは、ゲーム障害者の前頭葉に関する十編の論文をメタ解析し、ゲーム障害者においては、薬物依存者と同じように、前頭葉による行動や衝動のコントロール、報酬系の機能不全が起きていることを示している(Meng et al. : 2015)。
これらのゲーム障害者における知见を総括し、ゲーム障害者においては、他の薬物依存やギャンブル依存と同じように依存状态に陥っていることが理解されたのである。
それでは、eスポーツ选手はゲーム依存に陥っているのだろうか。eスポーツ选手は长时间にわたりゲームを训练し続ける訳であり、それによって健康问题などの问题は起きるだろうが、脳画像研究などはまだ不足しており、依存と同じような状况であるのかについてはまだ明らかでないことが多い。
ファニー?バンヤイらはeスポーツに関する研究をレビューし、実証的な研究が少なく、公衆衛生にどのような影響をもたらすのかの研究が不足していると述べている(Banyai: 2019)。チョン?トーマスもまた、先行研究をレビューした結果、情報の大部分が商業的な面から出されているもので、利益相反が明らかにできず、バイアスのかかった現状しか把握できなかったと述べている。そのうえで、eスポーツが流行し、競技に参加する者、見る者はすでに世界各国で増加しており、それに伴ってゲームをする者の数が今後も増加していくことが見込まれるが、それによってゲーム障害の者も増加するだろうと述べている(Chung: 2019)。
现在明らかになっていることをまとめると、ゲームには薬物やギャンブルと同様に依存性があること、ゲーム依存に陥ると脳机能にも障害が生じること、脳画像研究などによるゲーム依存者とプロゲーマーの脳机能への影响の违いなど、まだ明らかでないことが多いということである。そのような安全性も危険性も明らかでない现状で、安易にeスポーツを教育场面に取り入れたり、スポーツとして推奨することで、プロプレイヤーを梦见てどれだけ多くの子どもたちがゲームに依存していってしまい、その人生を台无しにしてしまうかを考える必要があるのではないだろうか。产业としてeスポーツを盛り上げるのであれば、依存に対する十分な対策をすることが急务である。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。