执笔者プロフィール

アロツ?アインゲル
総合政策学部 訪問講師
アロツ?アインゲル
総合政策学部 訪問講師
昨年2017年10月1日、カタルーニャで独立住民投票が実施され、2010年から続いているカタルーニャ危机は新たな展开を见せた。その日のニュースはスペイン中央政府の反対にもかかわらず投票する住民、また、投票所を制圧し、投票箱と投票用纸を接収する警察の映像で世界中の多くの视聴者を惊かせ、そしてそれ以降にも、プッチダモン前州首相のベルギー脱出、自治政府干部や独立派の活动家の拘束、中央政府によるカタルーニャ州自治権の停止、州议会での独立宣言の可决など、相次ぐ重大な出来事が欧州内外で大きな波纹を呼んできた。
スペイン国内では、こうした事态に対してもっとも悬念を抱いた地域はおそらくバスク地方であった。バスクは、カタルーニャと同様に固有の言语と民族アイデンティティを持ち、スペインの自治州体制の中で高度な自治権を有し、また、19世纪に遡る独立运动を生み出している。
さて、バスク社会はカタルーニャ危机に対してどう反応しているだろうか? ここではこうした问いに対して网罗的な解答を挙げることができないが、スペイン国内外のメディアが昨年10月からバスクの状况をどう语ってきたかを述べ、そしてメディアの言説に必ずしも合致しない、最近のバスク政治界の动きについて考えたい。
昨年の秋にカタルーニャ情势が深刻化してからは、スペインで広く読まれている日刊纸エル?パイスや米纸ニューヨークタイムズをはじめ、バスクの州営のテレビ局などを含め多くのメディアが、バスクの现状がカタルーニャと大いに违うことに重点を置いた报道を行った。
実际、バスクとカタルーニャは19世纪の工业化および地域ナショナリズムの诞生から、フランコ独裁制下の抑圧や1975年以降の民主化と自治権の復権を経て、现在に至るまで极めて类似的な道筋を辿ってきたと言える。ところが、これらのメディアが强调しているように、カタルーニャとバスクを区别する重要な特徴も存在する。
1つはバスクではカタルーニャと违い、徴税権が国ではなく自治州にあり、财政上は后者より高度な自治権が认められている。これは、バスクにはカタルーニャほど独立のための経済的动机がないことと繋がるとされる。また、バスク社会はテロ组织ETAが2011年に休戦を宣言するまで、50年にわたり武装闘争を経験している。その结果、现代バスク社会は独立を目指して新たな试みへ飞びつくより、过去の伤を癒し、长い纷争の后の平和を筑くことへの関心の方が高いとされる。
こうして、メディアではカタルーニャ危机から大きな影响を受けず、慎重なバスク社会の姿が描かれてきた。ところで、その姿はどの程度、现在のバスクの政治状况を忠実に捉えているだろうか?
実际、カタルーニャでの独立をめぐる住民投票の时期に行われた世论调査では、大多数のバスク人がカタルーニャの独立运动に共感を示しつつも、バスクのためには独立よりも、むしろより高い自治度を望んでいることが明确であり、また、バスク州政府自体も、そして现在政権を担っているバスク民族主义党(PNV)も、当时カタルーニャ问题について穏健な态度を踌躇なく表すよう努めた。
しかし、最近になって、前述のような姿勢と異なる動きも目立つ。その意味では、昨年に州議会で設立され、今年の10月にバスクの新たな政治的地位のための草案を提示する予定である「自治をめぐる委員会」での議論が特に重要であると考えられる。なぜならば、州議会を構成する各政党の代表によって構成されているこの委員会では、州選挙で投票数の7割以上を所得した3つの政党は(PNV、分離独立派左翼政党EH-Bildu、スペイン左翼政党Podemos のバスク支部政党)、バスクの民族自決権を擁護する意向を示しているからである。その自決権の要求が具体的にどう実現するかについて未確定の点が多くあるにもかかわらず、結果的には独立の可否をめぐる住民投票の実施と繋がる可能性は否定できない。与党のPNVがカタルーニャ危機の深刻化当時、慎重な姿勢を示していたのと対照的に、バスクの自決権を明快に主張していることは広く関心を集めている。
さらに、2014年に民族自決権を求める10万人以上の参加者を集め、長さ123キロの「人間の鎖」を作るイベントを開催した草の根団体「Gureesku dago」(私たちの手にある) は、今年6月にバスク自治州の3つの県庁所在地の都市を繋げる新たな「人間の鎖」活動を呼びかけており、大勢の住民の参加が予想される。
2018年がカタルーニャ危机に次いで、「バスク危机」の年となることは考え难いが、カタルーニャの事态の影响を受けつつ、自らの道を歩んでいく今后のバスクの进展に注目が必要である。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。