执笔者プロフィール

田中 佑季(たなか ゆき)
その他 : 帝京大学法学部助教塾员

田中 佑季(たなか ゆき)
その他 : 帝京大学法学部助教塾员
2022年6月、「こどもまんなか社会」の実现に向け、こども家庭庁设置法とともに「こども基本法」が制定?公布された(2023年4月1日施行)。こども基本法は、子どもの権利拥护や子ども施策の総合的推进を目的とし、「差别の禁止」、「子どもの最善の利益」、「生命、生存及び発达に対する権利」、そして「子どもの意见の尊重」という子どもの権利条约の4つの原则を踏まえた基本理念を掲げている。
子どもの権利をめぐる国际的な流れは、国际文书として子どもの人権に初めて言及した1924年のジュネーブ宣言に始まる。その后、世界人権宣言(1948年)や児童の権利に関する宣言(1959年)などを経て、1989年に国连総会で子どもの権利条约が採択された。この条约により、子どもは権利の主体であることが明确になった。
日本が1994年に条约を批准した际、政府は、条约実现にあたっての立法措置はすでに讲じられているとし、条约履行のための新たな国内法の制定や改正は必要ないとする立场に立った。条约の批准后も、子どもの権利に関する基本法の制定を求める主张が続き、また多くの自治体で子どもに関する様々な条例が制定されるなどしたが、条约に対応する国内法は整备されなかった。しかし、条约批准からすでに30年が経とうとしているが、子どもの権利を侵害する事案は后を絶たない。児童虐待やいじめ、体罚、子どもの贫困などに加え、近年では、ヤングケアラーや厂狈厂をめぐる権利侵害、「ブラック校则」なども指摘されている。児童虐待防止法(2000年成立)などの个别の法律によって対応がなされてきたが、子どもの権利を守る包括的な法律は存在せず、新たな立法措置が强く求められていた。
こども基本法は、先に挙げた子どもの権利条约4原则とともに、子どもの健やかな成长のための养育环境の确保や子育てに関する社会环境の整备を基本理念として掲げている。国や地方公共団体には、法の基本理念に则った子ども施策を策定?実施する责务を定め、政府には、子ども施策の総合的推进のための「こども大纲」の策定を义务付けるなどしている。こども基本法は、子どもに関わる具体的な政策策定や取组みの共通基盘となり、子どもの権利保护のための制度を体系的に构筑するにあたって重要な役割を担うことになる。今后の具体的施策の法的根拠となることから、こども基本法に子どもの権利が明记された意义は极めて大きいと言える。子どもの権利保护の促进が期待される。
一方、こども基本法に基づく子ども施策策定にあたっては、当事者である「子どもの声」が重要となるが、子どもが自ら声を上げることができ、その子どもの声を十分に聴くことができる社会をどのように构筑していくかが大きな课题となる。子どもの権利条约の原则であり、こども基本法にも盛り込まれた「子どもの意见の尊重」実现に向けた体制の强化である。
子どもが自ら声を上げるには、子どもが自分の権利を知っていること、そして周りの大人が子どもの権利を认识し、支援することが不可欠である。しかし、日本では、子どもの権利条约について十分に周知されておらず、子どもの権利に対する社会の认识は高いとは言えない。条约やこども基本法の存在?内容を広く社会に周知し、子どもの権利に対する1人ひとりの意识を高める必要がある。そして、子どもが声を上げやすく、子どもの声に十分に耳を倾けることができる体制を作らなくてはならない。そのためには、周りの大人の协力が当然に求められるが、加えて、「子どもの代弁者」の存在を强化する必要がある。
现在、日本には、子どものための独立した国の権利拥护机関(コミッショナー/オンブズパーソン)は存在せず、国连子どもの権利委员会から设置に関する勧告を受けている。自治体では、兵库県川西市が1999年に国内初となる「子どもの人権オンブズパーソン」を设置し、现在までに30以上の自治体に同様の机関が置かれ、また、家事事件手続に目を向ければ、子どもの手続代理人制度が设けられるなど、「子どもの意见の尊重」を実现するための自治体の机関の设置や法的な制度の导入が进められている。こども基本法にも、子どもの権利条约や基本法の内容の周知及び子ども施策に対する子どもの意见の反映に関して定められたが、「子どもの意见の尊重」をより一层促进するため、国の権利拥护机関の创设をはじめとする体制や制度の强化は急务であると言えよう。具体的な検讨が待たれる。
こども基本法の制定は、子どもの権利保护の「第一歩」であると言われる。ようやくその一歩を踏み出したわけであるが、重要なのは、ここからの歩みである。社会を构成するすべての人々が共に歩んでいかねばならないことは言うまでもない。こども基本法、そしてこども家庭庁を轴に进められる今后の具体的な子ども施策に期待し、「こどもまんなか社会」の実现を强く愿う。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。