执笔者プロフィール

冈 伸浩(おか のぶひろ)
その他 : 弁護士法务研究科(法科大学院) 教授
冈 伸浩(おか のぶひろ)
その他 : 弁護士法务研究科(法科大学院) 教授
二十数年前のひとつの问い
もう20年以上前になろうか。ある上场会社で新任役员の研修会の讲师を依頼された。テーマは「コンプライアンスと公司経営」だったと思う。
讲演后、ふと、その会社の専务取缔役が寄ってきた。わたしの耳元でこうつぶやいた。「冈先生、コンプライアンスではメシは食えないんですよ」。
自动车にたとえれば、公司の経営にとって利益を生む事业はアクセルで、コンプライアンスはあたかもブレーキのような存在と思われていた时代だった。コンプライアンスは、金を稼がない面倒で厄介な存在だった。あれから月日は流れた。今やコンプライアンスは公司経営を牵引する行动基準となり、ひとたびコンプライアンス违反があれば公司の存亡にかかわる事态を招く。しかし、この讲演以来、コンプライアンスと利益は対立するものなのか、今もこの问いが常にわたしの中にある。
多様化し、复雑化する现代社会とコンプライアンス
ところで、コンプライアンスとは何かについて様々な定义がある。その大枠を捉えれば、コンプライアンスとは、単に法令遵守のみならず、より広く社会伦理や公司伦理、そして当该公司の自主ルールを守って、社会からの要请に応え、诚実に行动するといった内容を含むものと理解されている。
では、社会からの要请とは何か。现代社会の复雑化は留まることを知らない。法令の改正はもちろん、求められる公司伦理の内実も刻々と深化していく。国民1人ひとりの価値観も多様化した。我が国の终身雇用は崩壊し、社员の会社に対する忠诚心は希薄化した。公益通报者保护法の下、内部通报制度が完备し、厂狈厂によって个々人が情报の発信主体となった。絶えず変化し続ける社会からの信頼を获得するためには、コンプライアンスを静的で固定化された概念として捉えるべきではない。コンプライアンスの本质は、変化する社会に正しく対峙し、社会からの信頼を里切らないための行动は何か、社会からの信頼を获得するための行动は何かを常に自らに问い続ける力を涵养することにある。そのためには、先のコンプライアンスの定义の中で最も重视すべきは、公司伦理であろう。ビジネスと伦理。一见相容れないかの様相を呈するが、公司伦理は、まさに両者のバランスの中にこそある。公司が営利を追求し、効率性や合理性を维持しつつも、正しさを坚持し、社会からの要请に诚実に応え、価値を提供することが肝要である。コンプライアンスは、予测不能な情势の中で、その都度、敏感に社会を知り、社会からの要请に応え、信頼を获得するために努力し続けるという动的で连続性のある公司のミッションなのである。
コンプライアンスと利益
さて、冒头の「コンプライアンスではメシは食えない」という问いに戻ろう。会社が営利を目的とする法人であり、対外的活动を行い利益を获得することに主眼がある以上、公司が利益を追求する存在であることは疑う余地はない。现场にとって利益の追求は切実であり、常に喫紧の课题である。见方によれば、コンプライアンス违反は、発覚してはじめて问题となるが、利益は毎年どころか、四半期ごとに数字として厳然と目の前に突き付けられ、立ちはだかる。未だ顕在化していないコンプライアンス违反と目の前の利益の获得が衝突するとき、人间は、その弱さゆえ、悪意の有无にかかわらず、自ずと利益を优先し、结果としてコンプライアンスに违反する。
これが顕在化した事象が世间にいう公司不祥事であり、公司不祥事が无くならない理由の1つはここにある。コンプライアンスと利益という20年以上前の问いは、现代の公司経営に内在する根本的で本质的な问题であり、今、なお息づく根深い课题なのだ。
信ある利益、正しい利益とコンプライアンス
现代の公司経営では、コンプライアンスと利益は、一体のものと捉えるべきだろう。コンプライアンスに违反して得た利益は、もはや利益とは言わない、そのような利益は欲しくないし、获得すべきでない、こう断言することが経営者に求められている。まさに「信ある利益」「正しい利益」こそ、现代社会における公司が追求すべきものだ。社会からの信頼とは何か、信頼を获得するためにいかなる行动を选択すべきか、この事を公司人1人ひとりが自らに问うとき、现代社会におけるコンプライアンスの本质にはじめて正対する。伦理的な公司は、例外なく経営哲学を背景にパーパスやミッションを掲げる。これが、迷ったとき、困ったときの経営の道标となる。経営哲学を基轴に社会の変化を受け入れ、公司がコンプライアンスと両立した利益を获得し、新たな価値を创造し社会に贡献する。ここに现代公司におけるコンプライアンスの要諦がある。そのために経営はどう在るべきか、现代社会をみつめ、このことを问い続けることによって、公司は、中长期的な公司価値向上への道を歩むことができる。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。