执笔者プロフィール

加茂 具树(かも ともき)
総合政策学部 教授
加茂 具树(かも ともき)
総合政策学部 教授
香港国家安全维持法の立法とこれに対する国际社会の批判は、台头する権威主义とこれを押し返そうとするリベラル民主主义の构図で捉えられている。
新型コロナウイルスのパンデミックの下で、中国指导部による强硬な行动の选択は国际秩序の紧张を生んでいる。
なぜ现指导部は国家安全法を立法したのか。この问いは、なぜ指导部は国际社会との対立を厌わない行动を选択するのかという问いの射程の中にある。
指导部が国家安全法の立法を决めたのは、パンデミックよりも前のことである。昨年10月に开催した共产党の会议は、同法の立法を含む香港に対する管制强化を决定した。香港の宪法である香港基本法第23条は、香港の国家安全を维持するための立法が必要だと明记していたが、过去20年余りのあいだ実现しなかった。今回の立法には「香港が立法しないのであれば北京が立法する」という指导部の强い决意が示されている。当时、この决定は、指导部が再度、基本法第23条に基づく立法に着手するよう强く指示したものだと理解された。しかし指导部は予想を超えた行动を选択したのである。
なにがこの判断を促したのか。指导部の国际秩序に対する不安全感である。
1990年代初めに共产党は、社会主义と市场経済は矛盾しないと确认して以来、「発展こそが坚い道理」という开発主义を掲げ、これに必要な安定した国内外の环境の构筑を共产党による统治が保障する「改革开放」路线を示した。中国外交の目的は中国の発展に有利な国际环境を整えることだった。
歴代の指导部は、冷戦终结后以来、自らが既存の国际秩序に遅れて参加した存在であると理解し、不利な立场に置かれていると考えてきた。つまり中国の発展に有利な国际环境を构筑することは、既存の国际秩序に中国が适応することであると理解し、中国语で言う不安全感を抱きながら、注意深く、慎重に国际秩序を観察してきた。
しかし、2015年ごろに指导部は外交姿势を改めた。中国の発展に有利な国际环境を构筑する取组を「适応」から、既存の国际秩序に自らの要求を「埋め込む」ことへと変えたのである。
2015年に起草され、翌年に策定された「第13次5カ年计画(2016年?2020年)に「制度に埋め込まれたディスコース?パワー」という概念が登场した。
ディスコース?パワーとは、话し手の主张の物语性を以て、相手に共感と尊敬の気持ちを抱かせ、その内容を受け入れさせるパワーだ。
制度に埋め込まれたディスコースパワーを强化するとは何か。例えば、世界银行といった国际制度における中国の议题设定権や议决権を拡大すること、一帯一路といった中国が主导して设けた国际制度の影响力を强化し、そして既存の国际制度の改革を促す力を养うこと、そして深海底やサイバー、极地、宇宙といった新しい领域における国际制度の构筑を先导すること、である。
現指導部は自らの外交路線を「中国の特色ある大国外交」と呼ぶ。公式には、「大国」とは「major country」である。しかし共産党宣伝部が発行する習近平国家主席の発言を解説する書籍は「世界の平和の問題に影響をあたえる決定的な力」と説明している。指導部の関心はパワーの拡大にある。そして、指導部が重視するパワーがこれだった。
なぜ指导部はパワー拡大を追求するのか。それは既存の国际秩序に対する不安全観を払拭するためである。もはや中国に対して军事的侵略を试みる国家は存在しないにもかかわらず不安全感は高い。いま1つには経済発展し国力が増强した结果、自らの要求を受け入れさせる外交の手段を备えたからである。これが「大国外交」である。
指导部は、パンデミック以前から米中対立の构造が深まるなかで、「100年に1度の局面の大きな変化」という表现で流动する国际秩序に警鐘を鸣らしてきた。パワーのバランスが変化し、国际政治のアクターが共有してきたゲームのルールが変化する重大な局面の変化に国际社会があるとの认识である。
习近平は「100年に1度の局面の大きな変化」の下で発生するリスクを未然に防ぎ、危机をチャンスに変えるための能动的に行动する必要性を指摘してきた。その方针を共产党の総意として确认したのが、香港に対する管制强化を决定した昨年10月の会议であった。つまり香港政策をめぐる指导部の决断は、香港が无政府状态の一歩直前まで追い込まれたことだけが动机ではない。「100年に1度の局面の大きな変化」への备えの一环と理解すべきだ。こうした意识は、指导部の政策决定の优先顺位を、国际的なレピュテーションよりも国家の安全を优先させた。
现指导部は、大国意识をもちながらも、国际社会に対する不安全感を强めている。中国は米中対立の长期化を想定し、国内に「持久戦」を唱える。修正主义的な行动は长期的な倾向といえる。日本はこうした中国の対外行动の动机を把握し、向き合う必要がある。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。