执笔者プロフィール

鹤冈 路人(つるおか みちと)
総合政策学部 准教授
鹤冈 路人(つるおか みちと)
総合政策学部 准教授
香港の行方に旧宗主国である英国が関心と悬念を持つことは当然だろう。返还から23年がたち、香港の「英国らしさ」は少なくなったかもしれないが、见捨てるわけにはいかない。そして英国は、1984年の英中共同声明で、返还后50年间、香港の自由を确保するための「一国二制度」を中国に约束させた当事者である。
欧州にとっての香港问题は、一义的には表现の自由に代表される基本権の问题である。中国における知识人への缔め付けや、新疆ウイグルの问题などへの悬念は従来から高まっていた。
そうしたなかで中国政府は、国家安全维持法を制定し、今年7月1日に香港に适用した。これにより、国家の安全を胁かす行為が広范に取り缔まりの対象となり、市民运动や当局を批判するような言论がすでに大きな制约を受けるようになっている。一国二制度への挑戦であり、「香港はもはや香港ではない」とされるゆえんである。
英国のジョンソン政権は、対抗措置として、英海外市民旅券(BNO)を所持するか申请资格のある香港人――返还前の出生者――の英国受け入れを発表した。従来は6カ月の滞在のみだったが、就労?就学を含む5年间の滞在が认められることになった。加えて、この当初の5年间の后には永住権の申请が、そのさらに1年后には市民権の申请ができることになった。対象は、300万人弱のBNO有资格者と、その子供等の一部扶养家族とされた。英国政府は、最大20万人が英国に移住する可能性があると试算している。
香港市民の権利については、1997年の返还时にも议论されたが、结局は极めて制约の多いものになった。今回は、条件の大幅缓和である。移民问题は政治的に常に机微であり、EU离脱の原因の1つにもなったことを考えれば、香港市民受け入れが迅速に决定されたことは特笔すべきである。その背景には、新型コロナウイルス対応などで英国の対中感情がすでに悪化していたことや、野党労働党も大胆な措置を求めていたとの事情が存在する。
独自の措置に加えて英国は、「ファイブ?アイズ」と呼ばれる、米?英?豪?カナダ?ニュージーランドの5カ国によるインテリジェンス协力の枠组みを使った対中包囲网の构筑にも主要な役割を果たした。今年1月末にEUを离脱した英国としては、积极的な外交を行うことで、「グローバル?ブリテン」を内外に夸示する意図もあったのだろう。
欧州(EU)では当初、香港は「英国の问题」だという空気があった。それでも、表现の自由、报道の自由が侵されるなかで、踏み込んだ対応を求める声が强まった。その背景としては、英国同様、香港问题が表面化する前から始まっていた、欧州における対中感情の悪化が指摘できる。
EUは7月24日付で香港に対する制裁を承认した。各国の措置とEUとしての措置のパッケージであり、香港市民に対する庇护?移民?査証等の措置の検讨、抑圧、通信傍受、サイバー监视等の机器の香港への输出制限、奨学金、学术交流强化の可能性、市民社会への関与强化、香港との新たな(経済)交渉の停止などが主な内容である。
米国の制裁と异なり、中国本土に対する措置が含まれなかったことから、効果は限定的だとの批判もある。しかし、実际に制裁に踏み切った诸国は世界でも数少ないだけに、EUの行动は注目される。各国と香港との犯罪人引渡条约の停止も相次いでいる。
さらに、制裁の决定文书は、「国家安全维持法の内容と制定过程は、中国の国际约束遵守の意思に疑义を生じさせ、信頼を损ね、EU?中国関係に影响する」とも述べていた。香港问题が、欧州?中国関係全体を损なうとの警告である。
近年、EUは自らが比较优位を持つ経済的手段を使って、対中姿势を硬化させている。投资审査の强化と、国有公司(外国政府による补助金)问题への厳格な対応が、「EU流」の対中包囲网の中核である。これらは中国公司のみを対象としたものではないが、中国が标的であることに间违いない。
さらにコロナ危机を受けて、サプライチェーンの多角化による欧州経済のレジリエンス(强靭性)向上が课题になっている。まずはマスクや医疗物资に注目が集まったが、课题自体は中?长期的なものであり、多様な物资や技术が対象になり得る。日本を含めた価値を共有するパートナー诸国との连携强化に加え、製造拠点をEUに戻すことも选択肢になる。
これは、「开かれた戦略的自律」とも呼ばれる。闭锁的な自给自足体制を目指すものではないが、対中依存の引き下げが键となる。重要な技术の保护やデータの扱いなど、米欧さらには日米欧での协力が求められる。
香港问题をきっかけに、欧州?中国関係が変化し、香港?中国问题をめぐって米欧関係も动く可能性がある。日本にとっても重要な局面だといえる。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。