执笔者プロフィール

大嶋 えり子(おおしま えりこ )
経済学部 准教授
大嶋 えり子(おおしま えりこ )
経済学部 准教授
2024年は、フランス政治にとって波乱に満ちた年として语られ続けるだろう。2022年にロシアによるウクライナ侵攻という特异な国际情势の最中で大统领选挙が行われ、中道の现职のエマニュエル?マクロンが再选を果たした。その直后の総选挙でマクロン派阵営は过半数を获得できないながらも、相対多数の议席を胜ち取り与党の座を守った。だが、今年6月に行われた欧州议会选挙で、「极右」や「急进右派」に分类される国民连合が胜利し、マクロン派およびマクロン自身の不人気があらわになった。マクロンは选挙结果が出た当日の夜に国民议会(下院)の解散を発表し、6月29日、30日に第1回投票、7月6日、7日に决选投票を迎えることになった。解散があるとしても秋ごろと目されていたが、各势力はパリ?オリンピック?パラリンピックを目前に控える状况で急遽选挙の準备に追われることとなった。
さらなる惊きを呼んだのは、2023年からパレスチナ情势をめぐって対立が顕在化していた左派4党(社会党、共产党、緑の党、不服従のフランス)が、解散発表の翌日に新人民戦线という连合を组み、マクロン派と国民连合に対抗する势力を形成したことである。
一方で、シャルル?ドゴールの系谱を継ぐ共和党の一部は国民连合と手を组むことを决定し、そのほかの者は极右とは一线を画す右派としてのアイデンティティを坚持しようとするなど、政党间関係の再编が见られた。
第1回投票の结果、国民连合が首位となり、多くの世论调査で决选投票でも国民连合が过半数をとれずとも第一势力になると予想された。そのため、决选投票まで1週间しかないなか「共和主义戦线」が张られた。これはかつて2002年の大统领选挙の际に见られた现象で、共和国の理念を遵守しないとされる极右政党の胜利を阻止するための左派と右派の协力関係を指す。结果として、「共和主义戦线」が功を奏し、国民连合は议席を増やしつつも、第叁势力に留まり、过半数を获得する势力がないなか、新人民戦线が予想外の第一势力となった。注目は大统领が首相として任命する人物へと向かった。
多くの时间を费やし、新人民戦线は全く无名だった官僚のリュシー?カステを候补として掲げ、彼女の首相任命を要求した。大统领は谁を任命してもよく、议员でない者、政治経験のない者でもよいが、下院の最大势力が推荐する者を首相に任命するのが惯习である。しかし、相対多数しか持たない左派连合の组阁に消极的だったマクロンは、各势力と会谈を重ね、五轮が终わるのを待った。国民议会选挙の决选投票から2カ月経ってやっと任命したのが、议会で第四势力になった共和党の出身で、大臣や欧州委员会委员などの経験を持つミシェル?バルニエだった。新人民戦线とその支持者の落胆と怒りが大きかったことはいうまでもない。
议会の过半数の支持を持たず、不信任の可能性と常に隣り合わせのバルニエ内阁は、主にマクロン派と共和党の者で构成された。特に注目されたのは、内务大臣に就任したブリュノ?ルタイヨである。元老院(上院)の议员として长く活动してきたルタイヨは、移民受入の规制强化を提言し、2013年には同性婚の法制化、2022年には他者の性的指向やジェンダー?アイデンティティを変えさせようとするいわゆるコンバージョン?セラピーの禁止、そして2024年には妊娠中絶の自由を明记する宪法改正に反対し、强硬な保守派として知名度が高い。そのイメージに违わず、内务大臣就任时の演説では「秩序を取り戻す」ことを强调した。10月1日にバルニエ首相が行った所信表明演説では、移民政策が优先事项の一つとして位置付けられ、ビザ取得の条件の厳格化や贰鲍法を遵守した国境管理の强化が挙げられた。重要ポストである司法大臣に社会党出身者のディディエ?ミゴーを起用したとはいえ、ルタイヨの立场と併せれば、バルニエ内阁が移民受入を规制する保守的な政策を打ち出していることがわかる。
最后に、今回成立した体制がコアビタシオンか否かについて补足したい。コアビタシオンとは议会の多数派と大统领の政党や势力にねじれが生じた状态を指し、しばしば「保革共存政権」と訳されてきた。大统领に右派のジャック?シラク、首相に左派のリオネル?ジョスパンがいた时期などがこれにあたる。今回はどうか。マクロン派から首相が任命されなかったため、共和党の一部からはコアビタシオンだという解釈がなされているが、マクロン派の大臣も多数入阁しており、従来见られたコアビタシオンとは大きく様相が异なる。大统领府もコアビタシオンではなく「厳しい共存」という见解を示し、バルニエ本人もコアビタシオンではないと明言している。第五共和政下で初の事态であり、コアビタシオンの意味范囲、そしてもしかしたら訳语までを再検讨する时期が来たのかもしれない。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。