执笔者プロフィール

鹤冈 路人(つるおか みちと)
総合政策学部 准教授
鹤冈 路人(つるおか みちと)
総合政策学部 准教授
欧州が揺れている。各国内政が揺れているうえに、外交、安全保障、防卫も揺れている。ロシアによるウクライナ全面侵攻、中东における纷争の拡大、米国の大统领选挙などに翻弄される欧州である。
ただし、これは决して新しい话ではない。第2次世界大戦后に、狈础罢翱(北大西洋条约机构)という米国との同盟によって安全保障を确保する选択をした西欧诸国は、それによって、必然的に、そして恒常的に米国に翻弄される运命になったといえる。
2022年2月24日にはじまったロシアによるウクライナ全面侵攻は、欧州にとっては戦后最大级の衝撃だった。古典的な国家间戦争が、21世纪の欧州に戻ってきてしまったのである。
この戦争で欧州は、第一义的にはロシアに翻弄された。おそらく狈础罢翱による抑止が机能した结果として、狈础罢翱加盟国の领土への直接の攻撃は発生していない。それでも、各国は防卫态势の见直しが迫られ、多くの欧州诸国で国防予算が引き上げられた。狈础罢翱では、即応性の强化や、バルト诸国など、ソ连と国境を接する诸国への部队増派といった、対露抑止?防卫态势の强化が进められた。
天然ガスや石油に代表されるエネルギーにおけるロシア依存も低减?解消が求められた。贰鲍(欧州连合)はロシアに対する制裁を段阶的に强化してきた。全面的な経済封锁からは程远いものの、侵攻前に想像されていたものと比べれば、强力な制裁である。
とはいえ、戦争后を见据えた中长期的なロシアとの関係については、何も决まっていない。バルト诸国やポーランドなどでは、「ロシアはロシアだ」との言説が强化され、未来永劫、ロシアを信用すべきではないとの见方がさらに固まった。
他方で、ロシアが同じ大陆の同居人である事実は変わらず、将来的には何らかの関係を再构筑しなければならないとの声もドイツやフランスなどでは根强い。どちらが优势になるかはまだ分からないが、欧州内でコンセンサスが存在していないことは确かである。
ウクライナ侵攻で欧州が翻弄されているとすれば、それは、ロシアによってのみではない。ウクライナに翻弄される欧州という侧面も重要だ。
欧州诸国にとってウクライナは、支援する対象である。しかし武器供与などは、ウクライナにいわば引っ张られるかたちで进んできた。全面侵攻前や、侵攻当初の状况と比べれば、今日の欧州によるウクライナ支援のレベルは段违いに上昇しており、「こんなつもりではなかった」というのが多くの国の本音ではないか。
ウクライナが当初の想定以上の抵抗能力をみせたこと、そして、数々の戦争犯罪にみられるようにロシアの侵略行為があまりにひどいものであったことなどから、欧州诸国のウクライナ支援は质的にも量的にも拡大を続けたのである。
ただし、そこで最后に问われるのは、「ウクライナを本当に欧州の一员として受け入れる覚悟があるのか」である。つまり、狈础罢翱や贰鲍の加盟を认めて、ウクライナと一莲托生、ないし运命共同体の関係になるのかである。
そうしないと、结局ウクライナが欧州秩序の不安定要素として残ってしまうために、狈础罢翱と贰鲍に加盟させる以外に解决策がないという声も広がっている。他方で、ウクライナとの贰鲍加盟交渉はすでに开始しているが、当事者の覚悟の度合いは不明である。気がついたら「ここまで来てしまっていた」だけかもしれない。
最后に、冒头でも触れた、米国に翻弄される欧州、という部分である。2024年11月の大统领选挙结果にかかわらず、すでに欧州は米国に翻弄されてきている。
2021年からのバイデン政権下では、米欧関係全般が深刻な対立におちいるような事态はなかったが、米国议会での対立によって、2023年12月から翌24年4月まで、米国のウクライナ支援がほぼ止まったことは象徴的だった。欧州は米国の穴埋めをすることができずに、戦况は悪化した。
军事大国であるロシアに、欧州だけで対処できないのは当然に闻こえるかもしれない。しかし、欧州は経済规模(骋顿笔)ではロシアの7倍程度あり、国防予算でも2倍以上あるのが现実である。それでも欧州だけではまったく対処できないとすれば、それは何かがうまくいっていないということなのだろう。英国とフランスは核兵器も保有している。
结局それは、米国に対して「自律できるのか」という问いであると同时に、本当に「自律したいのか」ということでもある。しかし、「自律したいのか」を问う赘沢が许されるのは、米国への依存という选択肢の存在ゆえである。それ自体が失われているとすれば、前提が大きく変わってくる。欧州には决断のときが迫っている。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。