执笔者プロフィール

和田 俊宪(わだ としのり)
その他 : 東京大学大学院法学政治学研究科教授特选塾员

和田 俊宪(わだ としのり)
その他 : 東京大学大学院法学政治学研究科教授特选塾员
鉄道の安全を语るとき通常着目されるのは、重大な事故を防ぐための车両技术や运行システム等であろうが、ここでは刑法的安全に焦点をあてたい。
刑法的安全とは何か。それは、危険な行為に対して罚则が用意されることにより守られるもののことである。鉄道に危険を及ぼす行為が広く処罚対象とされ、あるいは、重く処罚されて法的に抑止されるとき、鉄道は「刑法的に安全」であると评価される。
この観点から我が国の鉄道を见ると、刑法的安全を段阶的に増大させ続ける150年だったということができる。つまり、鉄道に危険を及ぼす行為の処罚は时代とともに重くなり、処罚范囲も拡张し続けているのである。
明治5年の鉄道开业时には、まだ近代的刑法典はなかったが、特别の法律として「鉄道犯罪罚例」が定められて危険行為への対応がなされた。もっとも、そこで処罚対象とされたのは伝染病患者が乗车する行為などであり、汽车の运行の安全を害する行為はまだ注目されていない。蒸気机関车が、火の粉を振り撒くイメージにより危険源として沿线住民から忌避されたために、最初の鉄道は海岸から少し离れた筑堤の上に建设されたといわれる。そうだとすると鉄道は、そもそもそれ自体が危険な存在であって、「本来的に安全な鉄道」と「それを害する危険な犯罪行為」という対抗関係が现れるのは、鉄道が开业后に一定の社会的信頼を得てからだったのだろう。
明治13年に初めての近代的刑法典が制定された。そこには鉄道の往来の危険を生じさせる行為を処罚する规定がおかれた。汽车の往来にとって危険な障害を设けると重禁錮(现在でいうと5年以下の惩役)、それにより汽车を転覆させると无期徒刑(岛地〔=北海道〕での无期惩役)、その结果さらに人を死亡させたら死刑とされた。レールの上に障害物を置く行為が5年の惩役で禁圧されるようになったのであるから、これによって鉄道の刑法的安全は格段に高まったのである。
その后、明治40年に现行の刑法典がつくられた。明治13年刑法の前记规定が基本的に引き継がれ、レール上に障害物を置くような行為は往来危険罪として処罚されるが、惩役の上限は15年に引き上げられた。それまでは惩役5年だったのであるから、格段に重罚化されて刑法的安全が一层高められたことになる。さらに平成16年には、ほかのいくつかの犯罪とともに、往来危険罪の上限は惩役20年に引き上げられて、现在に至っている。
さて、重い処罚ではなく広い処罚に目を転じると、そこでも刑法的安全は拡张倾向にある。
明治33年に制定され、いまでも生きている鉄道営业法は、列车に向かって「瓦石类」を投げる行為を罚している。レール上に障害物を置くような行為に匹敌する危険はないものの、石のように一定の重量があって固い物を投げると列车の运行を妨害するおそれはあるから、刑罚の対象にしているのである。これによって、前述の往来危険罪よりも広く、鉄道の刑法的安全が守られている。
この保护范囲を拡张させたのが、新干线鉄道における列车运行の安全を妨げる行為の処罚に関する特例法(新干线特例法)である。昭和39年の东海道新干线の开业に合わせて立法された同法は、走行中の新干线に向かって「物件」を投げる行為を処罚対象にした。つまり、走行中の新干线については、投げるものを「瓦石类」に限定せず、より広く刑法的安全を确保したのである。同法は、新干线の线路の中心线から3メートル以内の场所に物件を置く行為も罚しており、これも刑法的安全を拡张するものだといえよう。
新干线特例法は、全国新干线鉄道整备法が新干线鉄道と规定するものに适用され、その具体的な区间は政令で定められている。今年9月に开业したいわゆる西九州新干线は、この政令では「福冈市と长崎市とを连络する新干线鉄道のうち武雄市と长崎市とを连络する区间」と表现され、开业日から新干线特例法の対象になっている。
今后の展开で注目されるのは、刑法的安全がより一层求められそうなリニア中央新干线の扱いである。第一に、物件を置くと処罚される场所的范囲は従来の新干线よりも広くなるか。第二に、物件を投げると処罚される条件は従来の新干线よりも缓くなるか。第叁に、轨道上に障害物を置くなどして往来の危険を生じさせた场合に、刑法の往来危険罪の刑の下限下限(??)は惩役2年なのであるが、これがそのまま适用されるのか、それよりも引き上げられるのか。リニア新干线は磁力で浮いて进行するから、半分は飞行机のようなものである。そして现行法上、航空の危険を生じさせる行為は、航空危険行為処罚法により、2年ではなく3年以上の惩役で罚せられているのである。
次の150年、「飞翔」する鉄道に対して十分な刑法的安全が确保されることを期待したい。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。